2016年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2016年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

ファッションと社会

日付
2016年05月25日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:澤本 佑子

5月25日はファッションデザイナーの横森美奈子先生の授業「ファッションと社会」でした。

 

「ファッション」と聞くと、表層的なものや、流行・ムーブメントなど、またある一定の人達のものというイメージが強いかと思います。しかし、ファッションは特別なものではなく、また単なる衣服でもない「自分自身をデザインする」ために必要不可欠なツールなのではないかと思いました。

実はこうだった、元々はこういう意味があったなど面白い裏話を交えて、歴史や経済などの時代背景・状況からファッションが社会と切っても切り離せない役割を担っていたこと、ファッションと社会の関係性を紐解いていきます。

 

【戦争が唯一もたらした良いこと=女性と女性服の解放】

ファッションに詳しくない人でも、シャネルを知っている人は多くいるのではないでしょうか。現代では高級服、高級ブランドのイメージが強いシャネルですが、なぜシャネルがここまで有名で偉大なデザイナーと言われているのか、その鍵は戦争にありました。多くの男性が戦争(WW1)に駆り出され、女性が男性の仕事を担わなくてはならない状況下で、長い裾や過度の装飾は不必要なものとなりました。シャネルは活動しやすい服を女性のために作ろうと、付き合った男性の格好をデザインに取り入れました。また自ら着用してプロモートすることで、リアルな説得力があり、多くの女性の指示を得て、社会に影響を与えることになりました。(横森先生もご自身の番組で自らモデルとなってコーディネートされているように、等身大、リアルな魅力はいつの時代も女性には一番響くのではないかと思います。)また、シンプルで簡単な構造は量産に適していたため、量産化のシンボルであるFordism運動と共にアメリカで爆発的な人気を博します。現代のLittle Black Dressは「ちょっとしたお出かけにも着れるような、一着は持っているべきシンプルな黒のワンピース」の意味を持ちますが、実は大量生産のシンボルであり、またそれまでの女性を締め付けていた装飾を一気に取り払い、女性を自由にした画期的なデザインでした。また、もう一つシャネルの象徴である「シャネルスーツ」は、エレガントで女性らしいイメージがありますが、雨蓋ポケットや首元を守るスタンドカラーなど、実は騎馬服(軍服)を元にデザインされていました。アメリカでのウーマンリブ運動でシャネルスーツが良い意味で、働く女性の戦闘服として指示を得、再びファッション界に返り咲くきっかけとなった服でもあります。生涯を通して、現代女性服の祖として女性や女性服の解放に努めた人だったのだと、シャネルの新たな魅力を知ることができました。

 

面白いもので人間は慣れると飽きるという習性があり、シャネルと真逆の、女性、エレガンスをコンセプトにしたディオール、男性服を女性服として、性を超えた服の提案や、メゾンでプレタポルテを推奨したイヴ・サンローランへとお話は続きます。

その後は男性服についてのお話となり、16~17世紀の王族の衣装を例に、時代ごとに美意識が違っていることや、経済・社会問題から衣服の形状が変わってくることなど、またあえて異なるスタイルをミックスさせることで社会への声明、主張するツールとしてのファッションの役割など、話が続きます。ファッションはモノだけでなく、経済、色々な状況と合わさり、ムーブメントとなるということ、社会と切り離せないものであることがわかりました。個人的にはヘンリー8世が筋肉の美しさを強調するために脹脛にパッドを入れていたというのが、興味深かったです。

 

システムによる業態の進化・変化の部分や、時代とともに変化する人々のライフスタイルにより、意識の変化がどうファッションに影響するか、してきたかなど、面白いお話が続いたのですが、こちらは割愛するとして、最後に「ファッションは自分をデザインする」ための重要なツールであるということを述べて締め括りたいと思います。

 

【ファッションは自分をデザインすること】

今日の授業を聞き、ファッションを通して「自分をブランディングすること」の大切さを改めて考えさせられました。自分が嬉しくなるから今日はこれを着る、自分をこう見せたいから、この服を着る、今の自分にはこれが足りないから、カバーする鎧のような役目としてこの服を着る、など様々な選択法があるかと思います。before & afterの例で見た、サム・スミスが、なよなよしたボーイ・ジョージからシュッとしたジュード・ロウのようになっていて、目つきや顔の雰囲気、立ち姿が全く違っていて本当に別人のようで驚きましたが、ファッションから変わることで意識も変わっていく、ということもあります。ファッションは単なる表層的な自己表現ではなく、どう自分を見せたいのか、見てもらいたいのか戦略的に考える必要性もあると、考えさせられた授業となりました。また、ファッションは自己表現のツールであると共に、周りに対する配慮であることも忘れないようにしたいと思います。(女性の特権として、美しいものは美しい!表層的な自己表現もまた存分に楽しみたいです!)

 

最後の質問の時に「未来の洋服」についての意見が非常に興味深く、デザインがSiFi映画に出てくるようなモノではなく、繊維技術が進化・発達してきているので、ずっと着ていても汚れない服とか、寒暖の差を自動で調整してくれる服とか、機能面で今後新しくなるように思え、聞いていてワクワクしました。またその機能に沿ったデザインが新しく生まれてくるのであろうと想像すると、未来の服が急に身近に感じられました。

私個人としては洋服を選ぶ際に、見た目の美しさに優先順位をつけているので、心がワクワクするような美しいデザインで、新素材の服があるとやはり嬉しいなと思います。遠いようで近い未来、今後のファッションの進化がますます楽しみです。

 

デジタルハリウッド大学院と連携5年目 2017年度第8期開講

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