2014年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2014年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

美的感覚練成論6

日付
2015年01月28日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:毛利 雅人

テーマ:黄金比

数学(科学)、芸術、自然界、はたまた宗教まで、あらゆる世界から語られる黄金比。
そもそも黄金比とは何か、それを考えることにはどんな意味があるのか、STRAMD流に噛み砕いていくという授業でした。

言葉、数式、図式、これらは黄金比を理解したいと考えた時に、真っ先に開こうとする入り口だと思います。
しかしそこに大きな落とし穴。
切り口こそ異なるものの、これらの共通点は「頭(≒知識)だけで理解しようとするもの」であること。
黄金比に限らず、捉えどころのないものを扱うときには、頭、知識だけの理解というのは非常に弱い。
いわゆるただの「情報」になってしまいます。
「黄金比の短辺と長辺の比は、1:1.61・・・、で、フィボナッチ数列に・・・対数螺旋でオウム貝・・・」こんな調子でしょうか。
実務家の集まりであるSTRAMDでは、当たり前ですがただの「情報」には価値をおかない。
その情報をどう使うかに価値をおきます。
「情報」をいかに解釈し、どう使うか、それがデザインであり、経営であると考える。

その視点で考えた時に最も重要になってくることがあります。
それは、知識は頭ではなく、「身体に入れる」ということ。
中西先生の表現だと、「欲識」でしょうか。
今回の黄金比の講義における金子先生からの最大のメッセージは、この「身体に入れる」ことの重要性だと感じています。

今回の講義では、黄金比を直感的に体感するCG作品の視聴から、黄金比の歴史とストーリー、はたまた定規とコンパスを使用した黄金比の作成、および自らの好みの四角形との対比まで、通常の黄金比理解とは異なる方法でした。
この意味するところは、まさに黄金比を身体に入れようとしているということ。
スポーツの習得プロセスに近いものがあると感じています。
今回の講義に参加したメンバーは恐らく黄金比のうわべの情報に惑わされず、その本質に触れることができたと思います。

今回の講義テーマ「黄金比」は、「身体に入れることの重要性」を私達に理解させるために選ばれたテーマだったのだと思います。

思えば美的感覚練成論では、恒例の事前の宿題から、手を動かすワークショップ、起源から考えるという「ストーリー化」など、毎回「身体に入れる」ことの重要性がメタメッセージとして含まれていました。
最後の講義で、そこに気がつけて良かったです。

と、言葉で書いていて思ったのは、身体に入ったことの証明は、アウトプットという成果物を吐き出すことでしかできません。
つまり美的感覚練成論が本当に身体に入っているかどうかは、今後の自分達がいかにそれを活かしたアウトプットをするか、それにかかっているということです。
これは金子先生の最後の宿題でしょうか・・・、美的感覚練成論はまだまだ終わらない、そういう感覚です。

金子先生、1年間ありがとうございました。
5期性を代表して、御礼申し上げます。

《STRAMD》

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