2014年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2014年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

日本文化とデザイン論6

日付
2015年01月21日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:神谷 忠重

内田 繁先生の全6回の講義が終了した現在(いま)、この講義の中核にあった“弱さのデザイン”を自分なりに考えてみたい。
内田先生が定義する弱さとは、「ぼやけたもの、霞んだもの、透けたもの、揺らいだもの」は強固でないが故に拘らない。基本は残しながらも、しなやかに、又、自然に変化してゆく。川の流れの様に澱む事なく、常に清く純粋であり、人の情感や記憶に語りかけ、故に今、この瞬間を際立たせる。間違っているかも知れないが、私はそう思う。
そのわけは、私の会社が内田先生の作品によって救われたからだ。当社は現在、自社ブランドを立ち上げ、住宅インテリアの一部としてローカルではあるが確立してきた。
大変有難い事にストラムド5期生の中でも何人か、ご利用頂いているお客様もいらっしゃる。だが、立ち上げる10数年以上前は、当社は大手住宅メーカー数社の下請けOEM工場であり、まるで奴隷の様な状態であった。
九州の協力工場へ視察に出向いた折に博多で遊び、何の気なしに“イルパラッツォ”に宿泊した。その時の感動は言葉では言い尽くせない。今でも鮮やかに覚えている。
仕事柄出張は多いので、豪華なだけでのホテルは海外も含め幾らでも見てきた。イルパラッツォ自体、当時博多の如何わしい一角にあったので、一緒に飲んでいた博多っ子が「あれは、ラブホテルと!?」と言っていた。
だが入ってみると、エントランスから通路、そして部屋にあるグラスに至るまで、すべてがギリギリに洗練されているのである。豪華だが、ただ煌びやかなだけではない。一つ違ったら・・・
私はそもそもデザインに興味がないので上手な表現ができないが、その時一つだけ心に誓った。
「今迄、俺は何をやってきたんだ。馬鹿馬鹿しい。今の商売のやり方をやめよう。」
それが真のブランド化のきっかけである。
ストラムドで講義を受けるこの一年間に内田先生の手掛けられたホテルはいくつか宿泊し、見学させて頂いた。
その一つ一つにテーマが有り、その地域のシンボルとして周辺エリアのブランド化、活性化をうながしている。
私ごときがそれを論ずる事も、又、及ぶこともできないが、これからも先生の作品や手掛けられるイベントを、時間が許す限り見学させて頂き、“弱さのデザイン”のセンスを磨きたいと思う。

《STRAMD》

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