2020.11.09
ニューノーマル時代に学ぶべきCI・戦略経営デザインの本質全3回特別集中講座オンライン(ウェビナー)のお知らせ
2018.01.10
《STRAMD》2018年度第9期生募集記念 公開シンポジウム(無料)のご案内
2017.01.16
《STRAMD》2017年度第8期生募集記念 公開シンポジウム(無料)のご案内
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日本人文化の原点-縄文土器を獲り続けて30年 講師: 小川 忠博氏(フリーカメラマン) 受講記: 高野 六月(総合商社営業、ベンチャー投資) 「スリットカメラ」ってご存知です?競馬等の写真判定で使われるカメラです。普通のカメラだと1点に焦点が合うと周辺がぼやけるのですが、このカメラでは、対象となる被写体の焦点を、横に少しづつずらしていく様な撮り方が可能です。出来あがった写真は横に長く、数秒の時間の流れを分かり易く捉えてくれます。 小川氏がこの技法を使って撮ったのが、ブルートレインや新幹線。とまあ、此処までは相手も細長いので発想も理解出来たのですが、更に応用した被写体が、なんと、土器や壺。表面に描かれている文様をぐるっと一周スリットカメラで撮ると、文様や絵柄に込められたストーリーや世界を、細長い平面の写真として見る事が出来る訳です。防護ガラスの中に鎮座した状態で実物を遠目から見るよりも断然分かり易いです。なんせ目の前には手で触れられる距離で、360度の展開図が広がっている訳ですから。 尚、壺自体をターンテーブルの上に乗せて回転させながら外一点から撮影すると簡単ですが、時に相手は国宝。壊れようものなら大変という事で、壺は固定して、カメラ側をライトと一緒にぐるっと周囲を回す様にしたり、カメラとの距離が近すぎで焦点が合わない時には、鏡を一度はさんで焦点距離を縮める対策をして撮影されていました。その結果、機材は時に1~2畳の大きさに成る訳ですが、回転スピード、シャッターの開閉を制御するプログラムや構造も含めて自作されているそうです。しかも、毎回機材は被写体に合わせカスタマイズし、国内・海外問わずご自身でお持ちになるとのこと。 小川氏の撮影活動は、アフリカのゲリラ、月刊誌・タウン誌、子供用の絵本、縄文土器と多岐に渡りますが、どの写真に於いても、楽しさ・面白さ・臨場感を伝える為の最大限の工夫がなされていました。例えば写真に動きを出す為には、発砲スチロールのトレーに被写体を乗っけて引っ張ったり、テグスで引っ張ったり、カメラや三脚を叩いて振動を与え意図的にブレさせたり、光の当て方を変えたり・・・矢じりを沢山並べただけの考古学的な無味無臭の写真が、文字通り、スポットライトを浴びた表情豊かな写真に生まれ変わる訳です。もう、魔法にかかったみたい。ただ、その魔法の裏には、多くの試行錯誤があったのだろうと気付かされました。 講演後、絵本『土の中からでてきたよ』を早速子供に見せると、飛びついて食い入る様に土器や遺物の写真を見ていました。また、絵本閉じるとイヤイヤをするんですね。これにはまたびっくり。さっきまで遊んでたおもちゃは完全放置です。 生後11ヶ月の乳児をも虜にした氏の写真。やっぱり、良いモノは良い!
日本人文化の原点-縄文土器を獲り続けて30年 講師: 小川 忠博氏(フリーカメラマン)

受講記: 高野 六月(総合商社営業、ベンチャー投資)
「スリットカメラ」ってご存知です?競馬等の写真判定で使われるカメラです。普通のカメラだと1点に焦点が合うと周辺がぼやけるのですが、このカメラでは、対象となる被写体の焦点を、横に少しづつずらしていく様な撮り方が可能です。出来あがった写真は横に長く、数秒の時間の流れを分かり易く捉えてくれます。
小川氏がこの技法を使って撮ったのが、ブルートレインや新幹線。とまあ、此処までは相手も細長いので発想も理解出来たのですが、更に応用した被写体が、なんと、土器や壺。表面に描かれている文様をぐるっと一周スリットカメラで撮ると、文様や絵柄に込められたストーリーや世界を、細長い平面の写真として見る事が出来る訳です。防護ガラスの中に鎮座した状態で実物を遠目から見るよりも断然分かり易いです。なんせ目の前には手で触れられる距離で、360度の展開図が広がっている訳ですから。
尚、壺自体をターンテーブルの上に乗せて回転させながら外一点から撮影すると簡単ですが、時に相手は国宝。壊れようものなら大変という事で、壺は固定して、カメラ側をライトと一緒にぐるっと周囲を回す様にしたり、カメラとの距離が近すぎで焦点が合わない時には、鏡を一度はさんで焦点距離を縮める対策をして撮影されていました。その結果、機材は時に1~2畳の大きさに成る訳ですが、回転スピード、シャッターの開閉を制御するプログラムや構造も含めて自作されているそうです。しかも、毎回機材は被写体に合わせカスタマイズし、国内・海外問わずご自身でお持ちになるとのこと。
小川氏の撮影活動は、アフリカのゲリラ、月刊誌・タウン誌、子供用の絵本、縄文土器と多岐に渡りますが、どの写真に於いても、楽しさ・面白さ・臨場感を伝える為の最大限の工夫がなされていました。例えば写真に動きを出す為には、発砲スチロールのトレーに被写体を乗っけて引っ張ったり、テグスで引っ張ったり、カメラや三脚を叩いて振動を与え意図的にブレさせたり、光の当て方を変えたり・・・矢じりを沢山並べただけの考古学的な無味無臭の写真が、文字通り、スポットライトを浴びた表情豊かな写真に生まれ変わる訳です。もう、魔法にかかったみたい。ただ、その魔法の裏には、多くの試行錯誤があったのだろうと気付かされました。
講演後、絵本『土の中からでてきたよ』を早速子供に見せると、飛びついて食い入る様に土器や遺物の写真を見ていました。また、絵本閉じるとイヤイヤをするんですね。これにはまたびっくり。さっきまで遊んでたおもちゃは完全放置です。
生後11ヶ月の乳児をも虜にした氏の写真。やっぱり、良いモノは良い!