2013年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2013年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

美的感覚練成論3

日付
2013年10月10日 19:00~
場所
USTREAM STUDIO AOYAMA TOKYO 1st
受講生の感想

記:江川 英明

記:江川英明/STRAMD 4期

金子先生の今回の課題、想像を遥かに超える厄介さ(=面白さ)だった。

過去6000年以上の人類文化の歴史の中から、たったの15作品だけを選ぶという無茶。しかも。個人の好みやこだわりではなく、みんなが選びそうなものを選ばなければならないという、逆難題。またもや脳をシェイクする課題だ。

まずは、美術史自体をおさらいしなければならない。しかも人類の歴史の始まりから現代まで、総覧できなければ意味がない。そこで、駅前の普通の本屋に行き、昨日までの自分なら確実に素通りしていたであろう本を数冊購入した。どの本にも「入門」や「はじめての」などといった言葉が表紙に並んでいた。

実は自分は美大出身。確か西洋美術史という授業も取っていたはずだ…が、スライドやOHPが映される薄暗い講堂は案の定の休憩室になっており、学生たちは講義が終わる頃にガザゴソと再起動するのが日常風景。当然自分もその中の一人だった訳だが、単に授業が必修で受け身だったというだけでなく、「今どき昔のこと学んで何になるのか」と軽んじていたところもあったように思う。とにかく当時の自分にはまったく興味が持てない授業筆頭が西洋美術史だったのだが、購入した本を読み進めるにつれ、何故か勝手に興味が湧いてきてしまった。
半日ほどダラダラと本をめくるうち、「バルビゾンハ!」とか「シンコテンシュギ!」とかいった、コトバの響きだけで気持ちよくなれる謎ワードの意味もちゃんとアタマに入って来たし、各時代の流れも大枠インストールされたようだった。20数年前には全く興味が持てなかった上、数ヶ月もかけて受けていた講義は一体何だったのだろう。課題の設定の仕方、きっかけの作り方次第で、こうも興味の沸き上がり方に違いが出るものなのかと驚いた。

半日かけて全体を概観するところまでは行ったものの、本に出てきた作品はどれも甲乙付けたら失礼じゃないか?といった名作ばかり。この中から15作品を選ぶには、何か全く別の視点が必要なのではないか?と思い始めた。ではどんな視点なら、みんなが選びそうなものを選び取れるのだろうか?

ここから先は、この講義を受けた人のお楽しみとして詳しく書きませんが、今回の講義で学んだことは、『視点の立て方』。今見ている目の前のものは、自分にしか見えていない、自分にしか感じられていない姿かもしれない。そういう前提で、視点を切り替えてみる。もちろん、自分の視点ではないのだから、中には自分の評価とは相容れないものもあったりするが、それもまた新鮮な刺激になった。

結果としては、自分の解答が「みんなの総意」に最も近かった。調べるのに時間はかかったが、視点の立て方が間違っていなかったことは素直に嬉しかった。

美的感覚錬成論の課題・宿題は毎回アタマをシェイクしてくれる。次回が楽しみだ。

《STRAMD》

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