2013年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2013年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

アートディレクション論 

日付
2013年06月27日 19:00~
場所
USTREAM STUDIO AOYAMA TOKYO 1st
受講生の感想

記:江川 英明

記:江川英明/STRAMD 4期


浅葉克己というヒーロー

中学の頃は運動が苦手で、図書室と美術室が好きな典型的文化系男子だった。
その図書室で読んだある文章が、自分を方向付けたのは間違いない。
当時既にお茶の間的有名人だった浅葉先生がアートディレクターという仕事を語る文章。
そこから妄想したアートディレクター像は猛烈にかっこよく、一瞬で進路が決まった。

『浅葉克己みたいなアートディレクターになりたい。』

今思えば、電車の運転手やヒーローに憧れる子どものような、純粋な憧れ。
浅葉先生には、そんな対象になるような強烈な魅力があった。
もちろん仕事内容なんて本に書いてある程度の上っ面しか知らないし、
本物のプロフェッショナルの努力や苦労なんて知る由もない。
いちばん迷惑な憧れ方だったかもしれない。

30年経って、いまSTRAMDの講義で浅葉先生の目の前に座っている自分。
結局想像していたようなヒーローにはなれなかったし、自分が納得出来るような
アートディレクターになれたかというとまったく自信が無い。
そもそも広告を作ってないじゃないか。

ただ、今回の講義を聴いた一番の大きな収穫は、恐らく受講生仲間の中で
僕だけにしか感じられなかった事なんじゃないかと思う。
それは、中学の時のあの感覚、気持ちを思い出した、ということ。
しかも当時のヒーローに会ってみたら全く変わってなかった、という幸せ。



アートディレクション論

講義は、先生のこれまでの仕事を、
・Graphic Design/Illustration
・Art Direction/Photography
・Typography/Copywrite
の3つの軸から眺めながら、アートディレクションマインドのかけらを
みんなにインストールしていく、という流れだった。

特に印象に残っているのは、質疑応答で答えていただいた話。
1日1図、日記、楷書…と様々なアウトプットを毎日継続している浅葉先生は、
その時間をどう捻出しているのか、という質問に対し、
「スキをみて書いている」「寸暇を惜しんで描いている」
という、ある意味当然ともいえる答えをいただいた。
しかし、その継続が半端ではない。実に数十年単位である。
「ずっとやってるから、やらないと気持ち悪いんだよぉ」と笑っていらしたが、
数十年は習慣の一言で片付けられるものではない。

アートディレクターの仕事はアウトプットだ。
だが、仕事だけでなく、日々アウトプットを継続することを課し、
そのために更に膨大なインプットをし続けているのではないか…。
インプットは大事だぞ、なんて若いスタッフに指導している自分が恥ずかしい。
いっぱい出して、いっぱい吸う。自分こそ、まずはそこからだ。



思い返してみると、中学生の頃の自分は、
「浅葉克己みたいなアートディレクター」になりたかったのではなく、
「アートディレクター浅葉克己みたいな人」になりたかった、
そういう事だったんじゃないかと思う。
もういちど、追っかけてみようかな。

《STRAMD》

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