2012年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2012年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論12

日付
2012年11月20日 19:00~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
世界共通の企業理念開発:伊藤忠商事
受講生の感想

記:吉田 恒

記:吉田 恒

今回は中西先生の手掛けられた伊藤忠商事などのモデルケースから、「経営理念」をテーマとして講義を頂く。

「戦友の屍を戦場に残さず」
これは、アメリカ海兵隊の有名な行動理念であり、世界でも素晴らしい理念と評されている。
「理念」はその性格上、具体的「行動」に繋がるものであるべきだが、通常のケースでは直結させるのは難しく、「指針」などという規範を作り具体化させなければならない。
この点、アメリカ海兵隊の「戦友の屍を戦場に残さず」という理念は、戦場における兵士の死亡の最小化、即ち、進路確保や補給戦略、戦闘戦略において、兵士の死亡、死体の搬出を最小限に抑えるという具体的行動規範に直結している。

企業理念においては「時代性」という要素も重要である。例えば「老舗」といわれる企業であれば、江戸時代以前から事業を行ってきた企業体も多い。但し、江戸時代と現代では、思想も文化も制度も違う。同様に企業に求められる役割も違ってくる訳だから、その時代に合った企業としての行動が求められる。そうすると、自ずと「時代性」という要素を含んだ理念が必要となるのである。
世界有数のコングロマリッドである日立グループの以前の企業理念は「日立魂」であったという。この企業理念には注釈があり、グループ会社も含めた会社の社長に就任する際には、自らの「日立魂」を発表するというものがあった。これが注釈として存在することにより、社長や次期社長予備軍は、本来の日立の伝統を受け継ぎつつ、その時代時代のトレンドを踏まえた各々の考えを企業行動の指針として、劣化しない企業理念を掲げることができていた。

モデルケースである伊藤忠商事の例では、江戸時代に創業し戦後破竹の勢いで成長を続けていた同社が、いわゆる「理念」というものを持っておらず、企業理念を新たに策定していくところから、どのように形にしていったのか、詳解を頂いた。
何より勉強になったのは「理念」という抽象的にも思えるものを創っていく作業に対しても、徹底した見える化を行っていることである。見えにくいものを提案するときこそ、見えやすいものに置き換える必要が高いと思っていたが、具体的な手法などを見てみると、その徹底した内容に驚かされた。また、非常に大きな組織にも関わらず、全員参加型でプロジェクトが進んでいたのにも大変驚かされた。

今回の講義を頂戴し、これまでの、自分自身の「企業理念」というものに対する考えの甘さと重要性を認識する有意義な機会とすることができた。

《STRAMD》

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