2012年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2012年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論10

日付
2012年10月30日 19:00~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
政策・方針のデザイン:ブリヂストン/神奈川県(KI)
受講生の感想

記:岩崎 正寛

10月31日。渋谷の街は、思い思いの衣装に身を包みハロウィンを楽しむ人々で溢れかえっていた。我々も週二回だけ、それぞれの日常を離れ、渋谷で生徒の顔になる。

本日は、STRAMD主催の中西先生による、戦略経営デザイン論の10回目。前半は先生が手がけた代表的事例の一つであるブリヂストンのCIプロジェクトをモデルケースに、価値創造手法を学ぶ。

企業をひとつの有機体として捉えた時の、その深層心理。その奥深くに眠る想いをPAOSは独自の方法論で顕在化し、象徴化していく。そうしてできあがったCIをはじめとする象徴秩序は、いわば磨きぬかれた想いの結晶。その輝きに照らしだされた方向に、企業は自ら歩みだしていく。その結果としてブリヂストンは、F1レースにタイヤを提供するほどの、世界一のタイヤメーカーになった。

想いの力はかくも強い。私自身、成し遂げたい目標を手帳に書いて持ち歩いていたら、いつの間にか実現していたという経験がある。陳腐な自己啓発書のようだと馬鹿にするなかれ。人類だけが自ら価値を作り出し、その価値によって自らをドライブさせることができる。その歓びと重大さを自覚することが、感動的経営環境創出の第一歩だと考えている。

後半は神奈川県KIプロジェクトにおける中西先生のプレゼンテーション記録を鑑賞する。恐らく本邦初公開の、貴重な記録映像。スクリーンに映しだされた、今よりちょっとだけ若い中西先生は、クライアントである神奈川県知事に向き合い、その構想を余すところ無く伝えていた。

壮大であるあまりに、凡人にはその全体像をなかなか捉えにくい中西先生の思想を少しでも理解するために、私はいくつかのキーワードを拠り所として先生の授業を読み解いている。そのキーワードのひとつに「演劇的手法」というものがある。静態的な戦略論とは一線を画するPAOSのコンサルティングは、どの事例を取りあげてみても、活き活きとした運動に満ちている。

戦略仮説というシナリオを書く。そして、街を舞台に、企業を役者に、時代を彩るスペクタクルを繰り広げる。そこに私は、コンサルタントというよりも、脚本家・演出家としての創意の横溢を感じずにはいられない。そして、プレゼンテーションがプロジェクトのプロローグであるなら、それは全体のドラマ性を予感させるものであるべきだ。壁一面に貼られた資料を舞台装置に、中西先生の詞藻が人々を駆り立てる。書かれた文字が踊りだす。描かれた図表が歌い出す。

授業後の質問タイムも欲張って質問させていただく。

「先生がお会いした経営者の中でも、とりわけ優れた人に共通する人柄とはどんなものか」。

授業では挿話のように何気なく触れられていたこの部分、実はとても重要なのではないかと感じていた。なぜなら、STRAMD受講生なら授業に必ず持ってくる受講の基本視座、Prospetus 10。その第一項目目に深い関連性があると考えたからだ。

散りばめられたピースを自分なりの仮説を持って組み上げていく愉しさ。そのSTRAMDの真骨頂、今回も満喫させていただいた。

《STRAMD》

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