2012年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2012年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論9

日付
2012年10月16日 19:00~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
新規事業開発4種の神器:セキスイハイム
受講生の感想

記:古石 卓巳

記:古石卓巳

中西先生の講義の時、必ず持ってこなければならない2枚の紙がある。

ひとつはSTRAMDの考え方の骨子が記された「Paradigm10」、もうひとつはSTRAMD受講に当たっての姿勢が記された「Prospectus10」である。PAOS 40年の歴史が詰まっているだけに、さらっと目を通すだけでは絶対に体得できない。ゆえに何回も立ち戻って、講義の中で中西先生はその”根っこ”の概念を繰り返し説明していく。しつこいほどに。

なぜなら、我々はすぐに既定の「類型思考」に陥るからだ。デザイン思考は常に「脱皮」を繰り返さなければならない。その”根っこ”を押さえておかないと、いくらCI(コーポレートアイデンティティ)の事例を学んでも、表層的になり意味をなさない。

今回のフォーカスは、Prospectus No.4 の”価値創造成果を「成功実証事例」から学ぶ”、である。取り上げられたのは、セキスイハイムのブランドアイデンティティだ。今から40年前、PAOSがその後に築くビジネススタイルの基礎となったPJである。

当時盛んな住宅需要の中で、いかに「ユニット工法」を広く知らしめ事業を成功させたのか。大工さんが「建てる」が常識だった住宅業界に、工場で「作って組む」をどうやって社内外に浸透させたのか。意識を変える時、必ず「類型思考」の反対者が多い。ゆえに、”根っこ”のコンセプトの確かさと、それを伝えるデザインが鍵であった。

社内には「4種の神器」と呼ばれるファイルで、意識の浸透が図られた。①「コンセプトブック」で事業の優位性や存在意義を明確に説明、②「ブランドアイデンティティマニュアル」では各デザインアイテムをツリー状に配置して一覧性を高めて直観的に視覚訴求、そして③「ファクトブック」で経営戦略上のデータベースを提供し、④「事業計画書」で短期のみならず中長期的なエバーグリーン(持続的成長性)を目指す。これらは現在も使われていると言う。

単に企業のロゴを変えるに留まらない。コンセプトデザインという”根っこ”を押さえた、立体的な像が描かれている。ロジックとデザインの高次元の調和とも言って良いだろう。救急医療・対症療法から予防医学・根源療法へ、フロー的創造からストック的創造へ。日本社会もあなたも、そろそろ目先のことに囚われず、”根っこ”から考えてみないか?そんなSTRAMDらしいメッセージを感じた。

《STRAMD》

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