2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

知識経営論2

日付
2010年05月25日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
美的企業の経営
受講生の感想

記:岸 昌史

第11回 記:岸 昌史

「日本は戦後の経済成長の意味を問い直す時期である。近代の産業経済に適応されてきた成功の尺度や進歩の基準はもはや陳腐化している。日本のこれからあるべき進路はひとつ。これまでの価値観を転換して、生活の楽しみ価値追求のモデルを世界に示すべきである」(2003年1月3日付 日本経済新聞「経済教室より」)

上記は、今回の講師である紺野登氏の著書「知識デザイン企業」からの引用であるが、昨日の講義は社会の変化に伴い、「付加価値型経営」から「知識デザイン経営」へと企業の変革が求められる中で、デザイン思考の必要性を再認識する非常に良い学びの機会となった。

戦後の経済成長の中で、日本企業は安定した市場、業界の成長を背景に、コスト管理と品質管理に競争優位性を持ちながら、急激な成長を遂げてきた。しかし、グローバル化が進み、消費者ニーズの多様化や、企業間の競争激化に伴う商品のコモディティー化が進む中で、「付加価値型経営」の日本企業は、Apple、Nokia、Visio等に代表される「知識デザイン企業」へとマーケットシェアを奪われることとなる。

日本企業の現在の衰退は、皮肉にも、日本の高度経済成長を支えてきた「モノづくり」への拘りが一つの原因と考えられる。日本企業が過去の成功に囚われ、技術者が作った高品質なモノを売ることにフォーカスした供給者視点であるのに対し、「知識デザイン企業」は、人間や社会と向き合い、世の中のGapを見極め、人間を中心にコト(経験)の創造にモノ(技術)を埋め込む、顧客視点のアプローチを取ってきた。MP3プレーヤーの技術開発に注力した日本企業に対し、音楽を購入して聞くまでの一連の経験を、I-Tuneの開発と共にデザインしたAppleのI-Podが良い例である。

工業社会から、知識社会へと変化する中で、「モノづくり」から、「コトづくり」へと日本企業変革の必要性を改めて実感する一日となった。

《STRAMD》

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