2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

日本の伝統文化を織る、試す

日付
2010年12月25日 18:30~
場所
東京ミッドタウン
概要
香道の歴史と聞香体験 嗅覚を芸術に高めた和の感性
受講生の感想

記:志水 あい

第61回 記:志水 あい

あけましておめでとうございます。
昨年はたいへんお世話になり、ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、昨年最後の講義は香道についてでした。
源氏物語などの文学を紐解きながら、平安時代の人々の香に対する意識や香道の歴史を伺い、実際に組香という楽しみ方で香を聞く体験もさせていただきました。
改めて「日本人はすごい!」と思ったのは、目に見えない匂いや香りをあそびに変え、さらに複数の要素を加えて芸道へと発展させたことです。匂いや香りは目に見えません。だからこそ、違いを見出したり表現したりするのには、研ぎ澄まされた感性が必要です。そんな鋭い感性が、古くから日本人にはあったのでしょう。
感性が磨かれるほどに、日常生活が豊かになっていく社会。それがかつての日本であり、日本人はいろいろな芸道を通して感性を磨き、場を共にする人たちと一緒に社会をつくってきたのだと思います。

日本人は物事の微細な違いを読み取り、個々の美しさを引き出す能力に長けていました。しかし、最近のチラシや雑誌、街中の看板などを見ていると、先人たちが持っていたはずの感性がどんどん失われていく気配を感じます。
情報量の増加が原因のひとつだと思いますが、注目を集めるために、わざと不快な表現をしているものが増えている気がするのです。もちろん同じものを見ても、不快(読みにくい・わかりにくい)と感じる人がいる一方で、快適(読みやすい・わかりやすい)と感じる人もいます。表現は自由であって、好みが異なるのは当然ですが、「目立てば何でもいい!」と美しさを無視した大味な表現を見ると何だか寂しくなります。
味の濃いものばかり食べていると次第に味覚が衰えてしまうように、大味な表現が増えれば日本人の感性はもっと鈍ってしまうと思います。今、日本の伝統芸道が見直されているのは、失いかけている感性を取り戻すために必要だからかもしれません。

講義をお聴きして、ますます日本の伝統芸道に興味を持ちました。これを機に心豊かな生活を送れるよう、これから少しずつ芸道を嗜んでみたいと思います。
この度は、貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました!

《STRAMD》

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