2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

日本を識る、50年を観る、迫真の感覚訴求

日付
2010年09月25日 18:30~
場所
東京ミッドタウン
概要
「日本旅1961-2010」を語る
受講生の感想

記:神里 僚子

「人生、焼き続けている」by山田脩二先生


第40回 記:神里僚子


今回は月に一回開催される特別講義で、JDBとSTRAMDの共催第一回目、久しぶりに写真集「日本旅 1961-2010」を出版された伝説の写真家であり、現在は淡路島在住で瓦師としてご活躍されている山田脩二氏を迎えてのオープンレクチャーでした。


麦わら帽子をかぶり、ニコニコとステキな笑顔でミッドタウンのデザインサイトにいらした先生は、前評判通り、飲むことが大好き!とのことで本日も「緊張をほぐすため」講義前に3杯ほどひっかけていらしたというだけあり、はじめから“ダジャレ”(失礼!)を飛ばしぎみのトークで出席者の笑い声あふれるなか、スタートいたしました。


講義のメインは、この日のために特別に作られたという「日本旅 1961-2010」の抜粋スライド、先生のお茶目な解説つきです。


山田先生は1939年生まれということで、ちょうど戦後の経済復興を支えた世代だと思いますが、日本の地方を切り取った先生の写真からも、「これからよくなっていくぞ」という時代の高揚感をつよく感じました。


モノクロでハイコントラストぎみの、強い印象の写真。


とはいえアバンギャルドに偏っている訳ではなく、非常に「日本人的な」郷愁、土着のつながりを想起させる泥臭いエネルギーも、写真のなかに同時に存在している。


「この国の未来を支えるのは自分たちだ」とひたむきに生きていた、わたしたちの両親にあたる世代の空気感に触れ、少し熱くなりました。


また、個人的におもしろいと思ったのは、スライドの締めが先生の子供時代~青年時代~今の写真だったことです。


「自分にとって写真は、とても個人的なものである」、


何か意味を付け足そうとして、工夫を凝らしているわけではなく、ただただ自分を通したありのままを撮っているんだ、と言うメッセージが込められているのでは、と私なりに解釈いたしました。




先生のお人柄もあり、和気あいあいとした雰囲気の中で進行した講義&交流会のあとは、山田先生のおごりで2次会を開催していただきました。


「一升瓶をしょってうろうろするようなおじさんになりたい(昔よくいたでしょ)」と、冗談か本気かわからないような先生のお話のなかでも、


「ぼくはね、人生を『焼き』に賭けているんだよ。


若い頃は写真、その後瓦、炭を焼き続けている」


と筋のとおった、ぶれない生き様を教えてくださいました。



こんなにもかっこいい日本人にお会いすることができて、STRAMDの懐の深さに改めて驚きました。


そう遠くない日に、STRAMDメンバーとともに、今度は先生の「真っ黒の瓦」を見に、美味しいお酒を持って淡路島へ伺いたいと思います。そのときはぜひ、スチールを撮られたという鈴木清順監督の「陽炎座」の現物も、見せていただけるとうれしいです。


あとは、余力がありましたらぜひ個展も開いていただければ。。大きな空間で先生の写真がどんなたたずまいを持つのか、体感してみたいと思っています。


山田脩二先生、今後の作品も楽しみにしています。刺激的な講義を、どうもありがとうございました。








《STRAMD》

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