2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

美的感覚錬成論4

日付
2010年11月18日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
漢字:埋め込まれた情念・甲骨文字から顔真卿、そして現代の文字
受講生の感想

記:山本 美穂子

2010年11月18日 カテゴリー:美的感覚錬成論

第57回 漢字

記:山本 美穂子

 自分の名前を構成する漢字ひとつひとつの意味を調べてくるようにとの宿題に、厚さ10cmはあるかと思われる「字統」「字訓」辞典に引き方すら解りかねている自分の状況に日本人としての不安を覚えました。更に知るすべも無かった漢字の本来の意味は、初めての言語に出会ったような驚きでした。

「白川静と漢字」と題されたビデオの映像はおどろおどろしい山積みの頭蓋骨に刻まれた象形文字の甲骨文ではじまり、衝撃的な漢字の世界への導入でした。白川静氏は「漢字は形を持つ表意文字。その漢字が成立した時代の行き方、考え方を具体的にしめしている。そして、その当初の形をもちつづけることで、みずからの素性を語りたいと欲している」と、20年漢字と向き合っているうちに漢字がそう自分に語りかけてきたと熱く語る。その中でも強く印象に残った「口を部分に持つ文字」の「口」は顔の中央にある部「口」の意味ではなく、神への祈りを入れ神前にそなえた箱形の「器」を象ったものと解字するとすべての謎が解かれ、古代の人々の心が,漢字の物語りとしてみえてくる、というお話でした。神と人の行き来を支える媒体は、目に見えないものを恐れ,崇め、自然と一体になって生きて行こうとする純朴な「人」の姿が見え、今の私達を咎めるかのようです。漢字を通して今、私達に必要なことは何なのか、企業戦略のおおきなヒントが見えてきます。

 講義のすべてが、従来の知識を超えるもので、なるほどと思う象形の意味と文字を超えたそのものの形の美しさとが相まって、脳と感覚を刺激し始めます。「全知全能を使いましょう」との金子先生のお言葉どおり、一つのことを求めるには百、千を知り、選び、構築していくものだと痛感しました。知っていると思ってしまっているその先にこそ、その「脳」を開き、多くの「知」を得、「コト」が出来るチャンスが溢れているいると確信しました。

《STRAMD》

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