2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

美的感覚錬成論3

日付
2010年10月28日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
アルファベット:トラヤヌスの碑文からヘルベチカまで
受講生の感想

記:神里 僚子

第47回 アルファベット トラヤヌスの碑文から現代へ


記:神里僚子


個人的には待ち遠しくしている授業のひとつである、金子先生の美的感覚錬成論。


デザインの仕事に10年近く関わりつつも絵も小学生以来描いたこともない、デッサンもしたことのないというないないづくしで、現代の利器であるコンピュータの恩恵にあずかって仕事をしている私にとっては、実践的な授業として楽しみにしています。


ということで3回目の今日は、書体の王様と言っても過言ではないHelveticaを取り上げた「ヘルベチカ ~世界を魅了する書」の映像鑑賞からスタートしました。


私にとってのHelveticaは、あまりにもスタンダードすぎて好きも嫌いも超えた存在なのですが、この映像ではHelveticaに対するLove or Hate 両方の意見を取り上げており、いかにデザイナー達の気持ちをかき立てた書体であるかを教えてくれます。


Helveticaはラテン語で「スイス」という意味とのこと、1957年にスイスのハース鋳造所でエドワード・ホフマンとマックス・ミーディンガーによってデザインされてから50年以上の歴史を経てもなお、この書体そのものが持つパワーに世界中のデザイナーが影響を受け続けていることはすごいことだと思いました。


Helveticaの熱気のあとは、ラテン語のローマン体文字の源とされる「トラヤヌスの碑文」からアルファベットの変遷を見ていきます。


トラヤヌスの碑文とは、114年頃にローマ帝国の皇帝トラヤヌスを讃え、記念として作られた柱の台座に刻まれたものであり、大文字の基礎とされているそうで、約1900年前に作られたという碑文の文字は人の書き文字を手本にしたということで、とても丁寧に掘られていてハネの部分が特に美しく感じました。


このようにトラヤヌスの碑文からローマン体(セリフ体)が確立され、19世紀には工業化時代の到来とともに、人目をひきやすい看板書体としてサンセリフ体が登場し、現在でも新しい書体は開発され続けています。


そして授業の締めは、欧文の組版ルールを簡単に説明していただきました。金子先生がサンプルとしてお持ちくださったフランス語の資料のデザインが、とても素晴らしくて見とれてしまったのですが、「欧文を組む場合には、見本として何パターンか自分がよいと思える資料を手元においておくとよい」とアドバイスをいただきました。



次回は漢字についてです。


事前に自分の名前を構成する漢字ひとつひとつを、白川静氏監修の漢字辞典から意味を調べておくように、と金子先生ならではのマニアックな宿題が出ています。


アルファベットが表音文字とすると漢字は表意文字とされているところで、次回金子先生ならではのどんな講義をいただけるのか、すごく楽しみにしています。


ちなみに金子先生は、現在アメリカのスモールシティ計画に関わっていらっしゃるとのこと、「マッチ箱から都市計画まで」幅広い活躍をされおり、同じデザインの仕事に就く私としては目標にしている存在のお一人でもあります。


バウハウスのヴァルター・グロピウスの「デザインはあらゆる分野の共通項分母である」という言葉を中西先生に教えていただきましたが、まさにデザインの領域が大きく広がり、必要とされていることをSTRAMDでは体感し、日々刺激を受け続けています。


《STRAMD》

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