2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2010年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論6

日付
2010年06月10日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
核拡デザイン論 理念開発事例研究(1):伊藤忠
受講生の感想

記:野田 泰平

第17回 記:野田泰平

今回の講義は中西先生の「戦略経営デザイン論(6)」です。

STRAMD Paradigm10
「Metapureneur(メタプルヌール/蘇業)を目指して」
3.STRAMD(戦略経営デザイン)の基本となる定義フレーム

デザインを支える基本哲学
「表現(形)は目的(機能)に従う」

《審美性、快適性、安全性、論理性、個性》

「核拡デザインの発想」

このデザイン哲学を基本に企業変革・経営革新を図っていく。

戦略デザインとは?
「核デザイン」「拡デザイン」で組み立てられる。

「核デザイン」について
1.審美性
2.快適性
3・安全性
4.論理性
5.個性

「拡デザイン」について
1.政策・方針のデザイン
2・表現・表象のデザイン
3・新事業・事業領域のデザイン
4.理念・企業存立のデザイン
5.公共的・社会的価値のデザイン
6.文化的・環境的価値のデザイン

現代の経営では定量的に意思決定が出来ないことが多い。
非常識を常識に変えるために、価値創造のソリューションを起こす必要がある。

PAOS事例
社名: 伊藤忠商事株式会社

http://www.itochu.co.jp/

プロジェクト開始年: 1991年
発表年: 1992年
繊維商社・総合商社を経てその先の企業体のあり方を探っていた伊藤忠商事は、
「国際総合企業」のキーワードを掲げ、新しい全地球型・全方位型ビジネスの企業存在を目指し、存立の根底から洗い直しを図るための新理念構築からなるプロジェクトを依頼。
その結果、全世界5,300人余の参加提案者の意見を聞き、最終的に8カ国語で表示された新企業理念を制定。
加えて新コーポレートブランドを核とするVIを開発。
800社(当時)を超える事業会社のグループアイデンティティシステム等も策定していった。

今回の事例での個人的な学びのポイントは
伊藤忠商事がなぜにNew CIプロジェクトが必要だったかです。
取り組み方としては社内での提案競争というユニークなやり方でした。
特別役員会でのプレゼンテーションは8時間を越えるもので、各部署からの当時の熱い気持ちが伝わってきました。
講義では時間の都合でここまででしたので、次回熱い提案競争の後どうやってNew CIになっていったのか。
そしてなぜに伊藤忠商事はNew CIプロジェクトが必要だったのか。
今回に続き私、野田がレポートいたします。

■講義後の懇親会にて
毎回時間の許すメンバーで講義後の懇親会を行っています。
講義中に感じた疑問や感想を各自でアウトプットして講義の気づきと学びを深めています。今回も志水さん、加藤さんの3名で行いました。
その際に近江商人に詳しい志水さんから興味深い話を聞いて大変勉強になりました。
伊藤忠商事も近江商人の文化を受け継ぐ企業ですので今回のNew CIの精神には
近江商人の文化が大きな影響を与えるのではないかと思っています。

近江商人文化に「三方よし」がある。
近江商人の行商は、他国で商売をし、やがて開店することが本務であり、旅先の人々の信頼を得ることが何より大切であった。そのための心得として説かれたのが、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」である。
これは益田先生の「サステナブル・デザイン(2)」で紹介された巻物の
「エコイノベーションで実現するサステナブルなライフスタイル」で
《エコしぐさ、エコことば》の中にもありました。
ここでつながりを見つけて個人的な考えですが、日本文化と環境デザインの強い関係性を再認識しました。

また近江商人文化に「利真於勤」(りはつとむるにおいてしんなり)がある。
唐の詩人韓愈の「業精於勤(業は勤において精し)」、から転用して作られた言葉であり、伊藤忠兵衛の座右の銘という。
商人の手にする利益は、権力と結託したり、買占めや売り惜しみをしたりせず、物資の需給を調整して世のなかに貢献するという、
商人の本来の勤めを果たした結果として手にするものでなければならない。そうした利益こそ真の利益であるという意味である。

《STRAMD》

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