2016年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2016年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

企業の社会的価値

日付
2016年06月08日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:稲垣 秀行

今回のテーマは「企業の社会的価値」について。
講師は(株)コンセプトワークショップの代表である佐藤修先生。
コンセプトワークショップの活動は「コモンズの回復(みんなのものをみんなで創る)をテーマにソーシャルビジネスに関わられているとのこと。テーマだけを見ると大企業のCSR活動についての考え方や事例紹介などかと思っていたが、講義はより本質的な部分に及び、極端な例えも交えながら、受講生の思考を大きく揺さぶるような内容だった。
 
講義はまず、「企業の価値とは何か?」という問題提起から始まり、受講生の考えを尋ねる、という対話形式で始まった。一般的には「売上・利益を上げているのか?」「株の時価総額の大きさ」といったものが価値として語られがちである。しかし、こうした金銭に置き換えることができる価値=経済的価値とは別に、企業とは人々の生活を豊かにするために社会の問題を解決し、社会にイノベーションを起こしていく価値があり、それが社会的価値であるとして定義された。その上で現状を見渡すと、企業があまりに金銭的価値ばかりに囚われ、社会的価値を見失っている、もしくは繋がりが切れてしまっているのではないか?と投げかけられた。
 
その後も、渋沢栄一翁の「論語と算盤」や、経済同友会設立趣意書などを取り上げ、「金銭のための経済」でなく「社会のための経済」として「経済=経世済民(世を治め民をすくう)」言葉が持つ本来の意義に立ち戻る発想転換が必要であることを提言された。
 
今回の講義では海外のマーケティング事例をいくつか示され、その広告や販売手法の是非について受講生と多くの意見が交わされた点が特徴的だった。それらのマーケティング手法について「良い・悪い」について問われ、各人が自分なりの考えを答え、それにさらに佐藤先生が質問をする、というやり取りはかなり白熱し、多方面から1つの事象を見る視点の大切さを再認識する。STRAMD流に考えれば、ここに更に「好き・嫌い」の軸も加えて考えてみれば、もっと発想の幅が広がったかもしれない、このブログを書くために考えを整理している中で気付き、まだまだ発想に柔軟性が足りないと反省した。
 
社会や経済が「不足の時代」から「過剰の時代」へと変化し、成長信仰への見直しが起きつつある現代、企業が新しい社会的価値を創り出すために何を考え、個人が企業との関わり方=働き方を問い直す。私たちが新しい社会の将来像を多面的かつ未来志向で考えて続けていくことが大事である、という気付きを本日のまとめとしたい。
 
2時間ではとても収まらず、まだまだ色々な意見交換をしてみたい気分で講義を終えた。佐藤先生のオフィスは外部に開かれていて、様々な立場の方が場に集い議論を交わしているそうである。当日消化不良で終わった分は、改めて伺って議論を深めてみたい。

《STRAMD》

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