2020.11.09
ニューノーマル時代に学ぶべきCI・戦略経営デザインの本質全3回特別集中講座オンライン(ウェビナー)のお知らせ
2018.01.10
《STRAMD》2018年度第9期生募集記念 公開シンポジウム(無料)のご案内
2017.01.16
《STRAMD》2017年度第8期生募集記念 公開シンポジウム(無料)のご案内
Copyright © 2010-2025《STRAMD》
デジタルハリウッド大学 学長・杉山 知之先生の初回授業でした。
<講義概要>
⬛︎ Re-Designing the Future
21世紀は「コンピュータとそのネットワークが空気のように存在している世界」になると考えていた。
しかし実際には、今の現実社会はそういう前提の世界になっていない。
多くの人は未だに”置き換えると便利なところがパソコンに置き換わっている世界”であるという認識であり、いつまでも”今がわからない”。
コンピュータとそのネットワークが空気のように存在していることを前提に、
すべてのことをデザインし直すRe-Designingが求められている。
あなたは、デジタルコミュニケーションの存在を前提としてすべての事柄を判断できているだろうか?
⬛︎ デジタルは扱う対象を増やしつづける
「最初のコンピュータ」は、1946年にアメリカで開発されたENIACだとされている。
ENIACはもともと軍事目的で開発された電子計算機であったが、コンピュータが扱う(=デジタル化される)対象はその後、
文字、グラフィックス、音、動画、3D・・・と拡大を続け、今や嗅覚や力覚、味覚についても技術的なチャレンジが行なわれている。
人ひとりが見たもの聞いたものすべての情報を記録しておくことで、
「時間」ですら後に再生することが(技術的には)可能になる。
次にデジタル化の対象になるのは何だろうか?
⬛︎ デジタルが全産業を革新する
新聞やテレビ・ラジオ、出版、音楽などのコンテンツ産業は、かつてはすべて別々のものであった。
しかし今は、取り扱っているものが文章にせよ映像にせよ、ほとんどすべてデジタルデータであり、
必然的にみな同じようなビジネスになっている。
それぞれのコンテンツ産業が連動するだけでなく、芸能界やネットショップ、パチンコなど”関連する”産業は拡大を続けている。
また、現在は関連がないような産業であっても、ほとんどがデジタルでのコミュニケーションが基本になっており、
デジタル化の波が全産業を革新していくことは明らかだ。
⬛︎ V2R(Virtual to Real)
3DプリンタをはじめとするDigital fabricationにより、CGは現実のもの(リアル)になる。
ファッションや食品、医療や建築など様々な分野での活用が試みられる一方、
殺傷能力のある銃も作成されるというネガティブな例もある。
レーザー加工やNC(Numerical control)制御技術と合わさり、
町工場レベルでも安くプロトタイプを作製して面白いこと、すごいモノを作り出せる時代になっている。
<感想>
最近、ICTやロボティクス技術の進歩について耳にするにつけ思うのは、
このような、ある意味最も”人間らしくない”(と感じられがちな)技術の開発によって、
私たちはむしろ「人間らしさ」を考えさせられているということだ。
例えば今回の講義では、音をデジタル化する際に目指すべき解像度は、つまり人間の聴覚が認識できる範囲にすればよいという話があった。
また以前、マツコロイドなどの開発で知られるロボット工学者、石黒浩 先生の登壇するシンポジウムを聴講した際のことだが、
「恋人としてアンドロイドとつきあうということは将来的に可能でしょうか?」という会場からの質問に対し、
石黒先生は「それは、要は”つきあう”といった時に相手に何を求めているかによりますよね。」と答えておられた。
基本となる技術ができた後、それをどう用いるのか、それで何をしたいのか考えることは、
「人間とは何なのか」に向き合うことに直結していると思う。
今後は何がデジタル化の対象になるのか。
杉山先生はその一例として、デジタル化された自分のデータを何百年後かに子孫が再生することで、
時を超えて祖先と擬似的に”会う”ことができる、つまり「魂」をデジタル化するという話をされていた。
「コンピュータとそのネットワークが空気のように存在している世界」へのRe-Desigingにおいて、
もちろん利便性という大きな方向性は外せないが、人間性の追求が大きな軸になるのではないだろうか。
例えば、お墓とか葬儀屋とか宗教団体など、人間の死生観に関わる産業が、
デジタル、ICT技術により大きく化けるのではないかと予想している。
故人本人のホログラムが葬儀で参列者に挨拶・・・みたいなことはすぐできてしまうだろうし、
お墓参りに行ったら亡くなった祖先(の人格を持つAI)に滔々とお説教されたりする世界も遠くないような気がする。
便利どころか、少し面倒かもしれない。
デジタルハリウッド大学 学長・杉山 知之先生の初回授業でした。
<講義概要>
⬛︎ Re-Designing the Future
21世紀は「コンピュータとそのネットワークが空気のように存在している世界」になると考えていた。
しかし実際には、今の現実社会はそういう前提の世界になっていない。
多くの人は未だに”置き換えると便利なところがパソコンに置き換わっている世界”であるという認識であり、いつまでも”今がわからない”。
コンピュータとそのネットワークが空気のように存在していることを前提に、
すべてのことをデザインし直すRe-Designingが求められている。
あなたは、デジタルコミュニケーションの存在を前提としてすべての事柄を判断できているだろうか?
⬛︎ デジタルは扱う対象を増やしつづける
「最初のコンピュータ」は、1946年にアメリカで開発されたENIACだとされている。
ENIACはもともと軍事目的で開発された電子計算機であったが、コンピュータが扱う(=デジタル化される)対象はその後、
文字、グラフィックス、音、動画、3D・・・と拡大を続け、今や嗅覚や力覚、味覚についても技術的なチャレンジが行なわれている。
人ひとりが見たもの聞いたものすべての情報を記録しておくことで、
「時間」ですら後に再生することが(技術的には)可能になる。
次にデジタル化の対象になるのは何だろうか?
⬛︎ デジタルが全産業を革新する
新聞やテレビ・ラジオ、出版、音楽などのコンテンツ産業は、かつてはすべて別々のものであった。
しかし今は、取り扱っているものが文章にせよ映像にせよ、ほとんどすべてデジタルデータであり、
必然的にみな同じようなビジネスになっている。
それぞれのコンテンツ産業が連動するだけでなく、芸能界やネットショップ、パチンコなど”関連する”産業は拡大を続けている。
また、現在は関連がないような産業であっても、ほとんどがデジタルでのコミュニケーションが基本になっており、
デジタル化の波が全産業を革新していくことは明らかだ。
⬛︎ V2R(Virtual to Real)
3DプリンタをはじめとするDigital fabricationにより、CGは現実のもの(リアル)になる。
ファッションや食品、医療や建築など様々な分野での活用が試みられる一方、
殺傷能力のある銃も作成されるというネガティブな例もある。
レーザー加工やNC(Numerical control)制御技術と合わさり、
町工場レベルでも安くプロトタイプを作製して面白いこと、すごいモノを作り出せる時代になっている。
<感想>
最近、ICTやロボティクス技術の進歩について耳にするにつけ思うのは、
このような、ある意味最も”人間らしくない”(と感じられがちな)技術の開発によって、
私たちはむしろ「人間らしさ」を考えさせられているということだ。
例えば今回の講義では、音をデジタル化する際に目指すべき解像度は、つまり人間の聴覚が認識できる範囲にすればよいという話があった。
また以前、マツコロイドなどの開発で知られるロボット工学者、石黒浩 先生の登壇するシンポジウムを聴講した際のことだが、
「恋人としてアンドロイドとつきあうということは将来的に可能でしょうか?」という会場からの質問に対し、
石黒先生は「それは、要は”つきあう”といった時に相手に何を求めているかによりますよね。」と答えておられた。
基本となる技術ができた後、それをどう用いるのか、それで何をしたいのか考えることは、
「人間とは何なのか」に向き合うことに直結していると思う。
今後は何がデジタル化の対象になるのか。
杉山先生はその一例として、デジタル化された自分のデータを何百年後かに子孫が再生することで、
時を超えて祖先と擬似的に”会う”ことができる、つまり「魂」をデジタル化するという話をされていた。
「コンピュータとそのネットワークが空気のように存在している世界」へのRe-Desigingにおいて、
もちろん利便性という大きな方向性は外せないが、人間性の追求が大きな軸になるのではないだろうか。
例えば、お墓とか葬儀屋とか宗教団体など、人間の死生観に関わる産業が、
デジタル、ICT技術により大きく化けるのではないかと予想している。
故人本人のホログラムが葬儀で参列者に挨拶・・・みたいなことはすぐできてしまうだろうし、
お墓参りに行ったら亡くなった祖先(の人格を持つAI)に滔々とお説教されたりする世界も遠くないような気がする。
便利どころか、少し面倒かもしれない。