2015年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2015年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

日本文化とデザイン論3

日付
2015年07月22日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:青柳 好典

※日本文化とデザイン論3は、内田先生体調不良により延期となりました。
代打として、中西先生によるCase study(松屋)の講義に変更になりました。


本日の講義は、中西先生によるCI導入Case study。
百貨店松屋CI導入の具体的事例であった。
松屋CI導入前、百貨店業界全体が低迷状況であり、
とりわけ松屋の経営状況は非常に厳しい状況であった。
CI導入後、松屋の経営は劇的回復した。
CI戦略導入による企業経営の根幹からプロモーション細部に至るまでのサクセスストーリーは非常に参考となった。
主観的ではあるがインパクトが強よかった4項目について感想を記載する。


リーダーシップ、CI戦略の必要性
→松屋が低迷していた当時、コンサルタント会社からの改善資料が多数存在していたが、
経営建て直しは出来ていない状況であったとのことである。
なぜコンサルタントに依頼しているのもかかわらず、松屋経営建て直しができてなかったか?
個人的推測ではあるが、「社内リーダーシップ」「CI戦略」の2つが欠如していたことが大きいのではないかと思う。
社内リーダーシップについては、人間(組織)は、居心地がよい現状を好み、変化を嫌う動物だと思う。
その人間(組織)に新しい仕組・やり方を仕込む際、何処にでも抵抗勢力が存在する。
その抵抗勢力を説得、行動してもらうためにはリーダーシップ力が必要であり、
特に会社であれば上層部の強いリーダーシップ力が必要だと思う。
当時の松屋には、多分そのリーダーシップが無かったのではないだろうか?
CI戦略については、コンサルタント会社の企業経営戦略立案は、概ねデザイン思考を考慮しない策となりがちである。
今回の松屋の事例では、CI戦略、つまりCIロゴを新しくして、お店のイメージを創りかえ、
百貨店の商品・価格以外で他百貨店との差別化を図った(情報の差別化)が強く顧客に浸透し、
結果として松屋経営回復に至った様子であった。
デザイン思考を企業戦略に取り込み、競合と差別化を図るところがCI戦略の強みであったと思う。


納得できる経営方針
→松屋の当時の経営方針のひとつに「顧客第一主義」があった。しかし中西先生はずばり「集客第一主義」ではないか?と指摘された。
この「顧客第一主義」は松屋に限らず、多くの企業でも同じ方針を掲げられている場合がある。
私が過去に属した会社の経営方針もまさに、「顧客満足の徹底」だった。
顧客が来なければ、顧客満足も何も無い。
経営方針は、その企業で起きていることをよく観察して納得感があるものでなければならないと感じた。
そういう意味でも、各先生方が述べている「観察する」とは、すべてにおいて大切な行動なのだと実感した。


CI戦略導入プロセス
→今回のCaseStudyにおいて、CI戦略導入プロセスの概要を学ぶことができた。
要するに、方針のデザイン→表現のデザイン→ビジネスのデザインのプロセス順に進めていく、
全体を観みてから詳細を観るイメージだろうか?
いきなり枝部分の詳細を検討するのではなく、まずは、幹部分の全体のを検討する順序で、
仮説立案→調査・分析→方針決定していくプロセスだ。
具体的、詳細な手法については、今回のCase Studyでは時間がなく確認することが出来なかったが、
今後身に付けていかなければならないひとつのスキルだ!


プロモーションの重要性
表現のデザインの具体例として、松屋の事例は、特にプロモーションに力を入れた事例だなと感じた。
マーケティングミックスにおいて、重要視されがちな商品・価格に関しては差別化が難しい状況のなかで、
プロモーション、具体的にはCIロゴを中心に、梱包紙、広告、文字スタイルに変化を加え、
競合との差別化を図っている感じを受け止めた。
お金が無いという条件においても、野菜写真を視覚的に表現したり、
英語・フランス語をアナウンスに組み入れて聴覚の斬新さも取り込んでいる。
競合との差別化の陳腐化対策として、常に取り巻く環境を研究し、
新しいものとどんどん取り込んでいく姿勢は、現在においても古臭くない感じを受けることができる。
最後にトイレだ!トイレは、最強のプロモーションの場所!!
トイレが汚いお店はうまくいっていない。まさにその通りだと思う、
私がよく行く居酒屋、ファストフード、飲食店、私の経験からもこの法則が合致している。



余談であるが、STRAMD講師の教えの共通事項として「観察することが重要である」のキーワードをよく聞く。
私自身も最近は、企業のロゴ、街中の看板、電車社内の広告のデザインと意識して観察するようになってきた。そして、色々考える。
これもSTRAMD受講の成果のひとつだと思う。

以上

《STRAMD》

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