2014年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2014年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

サステナブルデザイン論

日付
2014年07月10日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:二階堂 仁

益田文和先生のサステナブルデザイン論の第一回目の講義です。

恥ずかしながら、私はサステナブルデザインという言葉を初めて聞きました。
「サステナブル」には持続可能なという意味があり、地球を将来的に維持可能とする仕組みを考えたデザインをしよう。ということのようです。講義を聞き進めていくうちに少しずつ理解していきましたが、未来の為に非常に重要な考え方でした。

まず講義では、現在地球上で起こっている環境問題の話からはじまりす。後にこのことを知らないとサステナブルデザインの重要性を理解できないと分かりました。恵まれた日本で普通に生活していると気づくことができない、気づいてもリアルに危機感を持って感じることができない、切実な問題が地球、海外では普通に起こっていました。

一部、紹介させていただくと、

森林破壊
先生は最後に日本は(その国や住民に)どう弁明したらよいのか?と小さく言われ、ドキッとしたのを覚えています。
・日本は世界でトップクラスの森林国で国土の7割が森林。しかも森林の容積が毎年増えている(木が太く高くなっている)
・もし日本が輸入をやめ、国内の森林から全ての建材や紙などを作っても、森林の再生能力を超えずずっと使い続けることができる
・その日本は国内の森林に手を付けず、海外からの輸入材に頼るので海外の森林は丸裸になっている

気候変動
ここ数年、集中豪雨や異常気象を日本でも経験していると思います。比較的、実感しやすい事象だと思います。
・温暖化は徐々に起こるのではない
・気候のメカニズムは突然変わる
・2020年に最初の新しいメカニズムに変わると言われている
・まずインドネシアで起こり徐々に他の地域も変わっていく。日本は2050年ごろ

水の問題
日本では水が飲めて当たり前ですが、世界的に見れば、水道から安心な水が出ることは凄く贅沢なことです。
・世界人口70億のうち、きれいな水を飲めているのは10億人
・23億人が水が原因で病気になっている(水不足・汚い水)
・170万人が水が原因で死んでいる(うち9割は子供)

水不足
水は貴重な資源ということを再認識する必要があります。
・日本は実は水が潜在的にない国である
・食料をつくるための水も量=飲む水の量で、食料を輸入しているから飲む水がある
・海外で有名な話で、アラル海は1960年から干上がりはじめ今ではほとんど水がない
・原因は周辺で綿花の栽培をはじめ、水がたまらなくなった

水問題を解決しようとする素晴らしい商品(デザイン)
ただし、根本的な原因解決から目をそむけさせ、妨げているという理由で批判的な意見もある。
Q-drum 水源が遠くにしかない地域で、楽に水を運べるように考えられた商品
Life Straw 汚れた水を濾過して飲めるストロー

その他、エコなようで実はエコでない飲料水商品の話や利益のメカニズム、ウォータービジネス、宮城や福島の現状と抱える課題など日本国内の問題も詳しく聞かせていただきました。

先生のおっしゃられたとおり、先進国は特に「資源を使って気持ちのいい暮らしを考えるのではなく、使わなくても気持ちのいいくらしができないか。」を考える時期にきています。それを考える上で役立つ考え方として「バックキャスティング」を教えていただきました。

過去や現在の情報を元に未来を想像し計画することを「フォアキャスティング」。それに対し、あるべき未来を決め、そうなるために今どうあるべきか?どうすべきか?を考えることを「バックキャスティング」といいます。

「フォアキャスティング」だと、今の状況からより発展させようと考えるため、豊かになるかもしれないですが潜在的な問題を引きずり、悪化させる可能性があります。また、ものは細分化・複雑化され類似商品が溢れていきます。(講義では、目的は同じなのに、すごく多くの種類が発売されているボールペンが例に挙げられました。)「バックキャスティング」だと、あるべき理想の姿を定めるので、その為に現在はこうでないといけないという姿が見えてくるわけです。課題発見がしやすく合意形成しやすい。というのが特徴です。

後半は、インドネシアで行われているサステナブルデザインの事例や、益田先生や教えている生徒が行っている活動の紹介などがあり、現実に行動している方々の姿を見て感銘を受けました。それは今まで自分の持っていた「豊か」という価値観と全く違う価値観を持って行動をされています。それは古き良き日本の考え方に通じるものがあると感じました。

バックキャスティングで、50年後、一つしかない限りある資源の地球で、世界中の人達がアメリカ人と同じような生活ができるようになるためには、今地球が5個と+αいるという試算となるそうです。

今の日本人と同じ生活水準でさえ、2個と1/3が必要。ということは、50年後も100年後も地球は1つなので、世界の人が私たちと同じ水準で生活することは不可能ということです。今も未来も1つの地球というパイである以上、今の考え方のまま今豊かな国がそのまま発展し続けたとすると、上に書いた「森林破壊」のように、さらに他の国を踏みつけないと成り立たない。貧しい国が豊かになるためには、豊かな国が、豊かという価値観を変えたり、サステナブルデザインで物をデザインしていかないといけません。

他国を踏みつけている状況を分かりやすく表したものを「フットプリント」と言われるそうです。講義内でご紹介いただきましたページを貼り付けておきます。
WWF 日本エコジカル・フットプリント報告書 2012

最後に益田先生はエコデザインからサステナブルデザインへ。ということで締められていました。点である「エコ」から、もう一歩進んだ「サステナブル」という考え方を浸透させる必要と責任が日本人にはあると思います。

次の講義を楽しみに、講義スケジュールを見てみましたが、残念ながら益田先生のサステナブルデザイン論はこの回で終わりでしょうか。これを機にもう一度生活を見なおして、サステナブルな考え方を自分の中にも浸透させ、将来の活動に活かせていけたらと思います。

益田先生、貴重な講義ありがとうございました!

そういえば、講義終わりの中西先生のお言葉に、「過去の期から聞いていて活動も着実に前に進んでいるのが分かる。」というコメントがありました。勝手ながら過去の受講生の方々の記事をサルベージしてみました。記事を見ていただいた方にも共有できればと思います。
第1期2010年度 サステナブルデザイン(1) 記:橋本圭司さん
第1期2010年度 サステナブルデザイン(2) 記:志水あいさん
第2期2011年度 サステナブルデザイン(1) 記:角田健男さん
第3期2012年度 サステナブルデザイン(2) 記:森田志乃さん
第4期2013年度 サステナブルデザイン論 記:馬場崇仁さん
(ブログのメニュー構造が非常に分かりにくいので漏れていたらすみません。)

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