2013年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2013年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

WEB社会論

日付
2013年08月06日 19:00~
場所
USTREAM STUDIO AOYAMA TOKYO 1st
受講生の感想

記:岡本 由紀恵

世の中にある数多くのヒット商品の理由、それは商品のなかに仕込まれた“余白”の部分に隠されている。受け手側がその商品のもつ余白の部分に、どんな使い方を見出すのか。送り手側の発想だけでは予測のつかないこの余白こそが壮大な力を生み、だからこそヒット商品には、当たり前が作用する多数決だけでは決まらないという魅力がある。

例えば、LINE。毎日顔を突き合わせないことはないくらい、私にとっていつもすぐそばにある存在。このLINEはどうしてヒットしたのか。
数多く出回るLINEスタンプのエモーショナルはほぼ同一である。怒り、笑い、ごめんなさいを云い、愛を伝える。日頃メールで使う「文字」という直接的表現での失敗も、オブラートに包まれたようなLINEスタンプの表現が言葉足らずな部分をそっと補ってくれる。

この社会を牽引するデジタルネイティブ世代とは、1988年生まれ以降の若者を指すが、まさに字のとおり生まれながらにしてデジタルな世界に身を置く世代だ。
WEB社会が以前の世界とは違うと捉える私たちと、それが当たり前のようにそばにある”彼ら“デジタルネイティブの世代。タブレットが生まれながらに存在する世代には、この世の中は凸凹していない平らな世界だ。タッチパネルでボタンを押し、電車には何も接触せずカードをかざして乗る。
WEBは、特定の時間にひとつの場所で、大きな画面から情報を拾い集める使い方から、不特定多数の細切れの時間で自由にかつ、指先で人間の感覚に最も近いかたちで操作する時代へと移り変わった。モバイルファースト―すべては私たちに最も近いところにあるモバイルからシフトしていく。今まさに、人間とWEBとの関わり方が大きく変化しようとしている。

時々こう思うことがある。人間が一日のうちにできることが、加速度的に増えている、と。タクシーのなかで、飛行機のチケットの予約をし、外を出歩く時間を省いてネットで買い物をする。時間を使って何かをするということが、今やマイノリティであるかのようだ。人間社会の格差は物質面ではなく、情報面において未来を脅かすことが見て取れる。先生のいう、「未来はまさにブレードランナーの世界」であろうか。

未来のWEBは人間にもっと寄り添っていく。人間は日々の生活のありとあらゆる文脈で適切なメディアを思い、手元にある端末で感覚的にアクセスする。

そうなると冒頭のヒット商品の秘訣とリンクするが、やはり受け手側の発想がWEBとの密接なつながりを強固にしてくれそうだ。WEBと人間とのコンタクトポイントで、その場その場でユーザーの課題を解決し、わずかな接触時間でも満足のいく結果を返してこたえる。この視点は、何もWEBに限ったことではない。

いや、それよりも今回は、毎日当たり前にその進化を目にしながらも、その関わり方の変化によく気付くことなく、WEB社会に身を置いている自分に驚きを感じた時間でもあった。人間はどこまでWEBと寄り添えるのだろうか。今回もまた興味が尽きない。

《STRAMD》

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