2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

美的感覚錬成論2

日付
2011年06月28日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
黄金比:美の基準は存在するか・未来予測
受講生の感想

記:永田 薫

第23回 記:永田薫

金子先生の美的感覚錬成論の2回目。

今回のテーマは、「美的感覚に絶対の基準、規範はあるのか?」。

■まずは、36mmの竹ひごをふたつに分ける実験。
理知的に、美しく線分を分ける ということを意識しながら行為を何度も繰り返し、その対比を測定するというもの。
美しく、と意識しながら分けたものの比率を平均すると、ある数字に近づくか。

1:1.618
線分を2つに分割するとき、最も美しい比とされる黄金比。

黄金比 → だから美しい
美しい → 黄金比があるらしい

の検証、体感。

教会や神殿、ピラミッドといった歴史的建造物にも見られ、
古代ギリシャのユークリッド原論には外中比として、定義されている。

雪の結晶や巻貝、カエデの葉といった自然を生起する仕組みのなかにも見られる。
フィボナッチ数列。
葉が日光を効果的にあびるために回転しながら葉をつけていく葉の出現(葉順)の規則性の中でも、
最も効率の良い回転数に黄金比が見られるという。

■次の実験は、黄金矩形を体感するもの。コンパスを用いたり、はがき形の様々な大きさ・色・質感の
サンプルの中から好みのものを複数選んで、その縦横比率を計測。
長方形は縦と横との関係が黄金比になるとき、安定した美感を与えるとのとのこと。

良いものの比率をみて、学習する、慣れる。手で考える。

■塩梅、卓越した平均、植物の成長因子といった仮説。
それらの仮説を応用することには意義がある。様々な場面で。
一般→説得
実用→美的向上
研究→生物模倣
自己→感覚錬成

さて、黄金比だから美しいのか、美しさを検証していくと黄金比に行き着くのか。
短い実験を通じて、また、歴史的建造物や生物に見られる仕組みを知り、黄金比と美しさとの関係性を強く意識した。
あわせて、普段意識していなくとも、みんなが選んだものもそれに収束していく、平均化していくということも認識した。
科学と美の間の摂理、を体感した。

最後に、日本人顔を平均した週刊誌の記事の紹介がありました。新旧アイドルグループや女優と一般人女性の平均。
それぞれを比較するとたしかに違いはありますが、大きな違いはないような。一方で、つまらない印象を受けました。
当たり前ですが、個性がない、ということですね。美しさだけでは、物足りない、ということでしょうか。

今回の宿題として、クラスメートのみなさんの「私流美的感覚錬成スキル」の紹介がありました。面々のいろんな視点や
感覚を垣間見られる楽しいレポートでした。
会話や日常の中で、他者のそれを感じる機会はありますが、このように文字となって一時に知ることができるなんて、
贅沢でした。

(2011.9.4 記)

《STRAMD》

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