2020.11.09
ニューノーマル時代に学ぶべきCI・戦略経営デザインの本質全3回特別集中講座オンライン(ウェビナー)のお知らせ
2018.01.10
《STRAMD》2018年度第9期生募集記念 公開シンポジウム(無料)のご案内
2017.01.16
《STRAMD》2017年度第8期生募集記念 公開シンポジウム(無料)のご案内
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第50回 記:尾崎勝悟 いよいよ先生の講義も大詰め、先生が志向する経営のすべての要素を唯一実践したとされる INAXの事例について、解説が始まりました。今回はその前篇でした。 INAXという会社や商品、また、トイレという空間は、あまりにも私の仕事の中の日常だったためか、 今回は、特に直接的に感じることが多い講義となりました。 それは、一つのドラマを見ているがごとく、一つの会社がそして社会が、まさに劇的に変わっていくのでした。 そこで、そのドラマの前篇をみた私なりの感想と解説を、先生の講義を基に記載したいと思います。 INAXは、元々、伊奈製陶という愛知県常滑市のタイルをつくる会社 創業期には、なんとあの旧帝国ホテルの外壁タイルも手掛けていた。大矢石ばかりが有名だが・・・。 http://inax.lixil.co.jp/tilinglabo/exhibition/special/ 素晴らしい会社であるが、世間的には地方のタイル会社という位置づけだった伊奈製陶を、 伊奈輝三社長を始めとした当時の経営陣と共に、中西先生率いるPAOSが、まさに参謀として、 ”CI”という武器によって全く新しい会社へ変貌させていきます。 元々軍隊用語である「戦略」は、現在では最も頻繁に使われるビジネス用語となっていますが、 この事例において本当にこれは戦略的だと思う点は、突破を図る”点”を「トイレ事業への進出」という、 技術的には可能であろうが常識的には難しい、と考えがちなその”一点”に据えられたことです。 当時のTOTOは80%のシェアをもつガリバーで、それは大きな大きなチャレンジだったことだと思います。 しかし先生は、それを「日陰者であるトイレを日向者に」というシンプルで分かりやすくかつイノベーティブな言葉で 表現されており、ガリバーと真正面からぶつかる企業間競争ではなく、あくまでも受け手発想で思考された表現を使うことで 「世の中を変えていくのだ。」という誰もが使命感を帯びたチャレンジ精神に変えながら導いておられます。 これぞ、「個業化」の真骨頂。 そして、それは、ちょっと、仕事を超えた遊び心を感じてしまいます。(あくまで私見です) 「あの汚さの代表みたいな”便所”が、”どこよりも好きな場所はトイレです”。という人がたくさん増えたら面白いだろうな。」 みたいなことを考えている中西先生の姿を、ふと思い浮かべてしまうのです。(あくまで私の妄想です) 今、それがどのようになっているのか、私をはじめ多くの人が知るところですが、今やINAXは、TOTOと並ぶ 二大衛生器具ブランドとして存在しています。 また、シャワー式トイレや節水などの技術は、世界を圧倒的にリードしており、外国人が日本に来て驚くことは、 まずトイレ。と言われるほど、まさに世界を大きくリードする文化となっています。 そしてINAXは、未だに「デザインされたトイレ空間」という啓蒙活動を様々なメディアを通じて行っている会社です。 それらは、まさしく先生が行ったCIから始まり、今に続いていることが明らかです。 繰り返しになりますが、それは、一つの会社を変えただけでなく、「トイレ」という人間が生活する上において、 切っても切れない日常を大きく変えてしまいました。 ・・・・・・まさにこれぞ「イノベーション」 また、先生の仕事は、驚くほどの緻密さで構成されています。 例えば、INAXへの社名変更に関する解説でも、 世界中の商標登録の検証から始まり、 音韻の検討、クス、ぱぴぷぺぽなどは印象に残りやすい ツは、破裂音で印象が強い アルファベットの中でもA、Z,Xは格が高い・・・・・・など、完全に様々な角度からの検証を行い、さらにディテールを丁寧に詰めて 経営者に提示し結論に至っています。 素晴らしい仕事は、美しい仕事。それは、「神は細部に宿る」そのものです。 また、講義中は当時の映像などの上映などもあり、それを見て私が印象深かったことは、 「経営者をはじめ社員の方々が生き生きと、ワクワク仕事されている様子」でした。 講義終了後、私は、質問させていただきました。 「先生のお仕事は、最終的には、売上を伸ばして成果を上げることだと思いますが、 それ以上に社内を変えることを目的とされているようにも感じますが、どちらを重視されていますか?」と問いました。 先生のお答えは、「社内を変えるために社外を利用するのです。それは、ドラマトゥルーギーの手法です。」 「ドラマトゥルーギー」それはまさにドラマを演じているがごとく経営を行う手法。 先生の講義で度々出てきたキーワードですが、うーーーーーん今回は、しっかり実感しました。
第50回 記:尾崎勝悟
いよいよ先生の講義も大詰め、先生が志向する経営のすべての要素を唯一実践したとされる
INAXの事例について、解説が始まりました。今回はその前篇でした。
INAXという会社や商品、また、トイレという空間は、あまりにも私の仕事の中の日常だったためか、
今回は、特に直接的に感じることが多い講義となりました。
それは、一つのドラマを見ているがごとく、一つの会社がそして社会が、まさに劇的に変わっていくのでした。
そこで、そのドラマの前篇をみた私なりの感想と解説を、先生の講義を基に記載したいと思います。
INAXは、元々、伊奈製陶という愛知県常滑市のタイルをつくる会社
創業期には、なんとあの旧帝国ホテルの外壁タイルも手掛けていた。大矢石ばかりが有名だが・・・。
http://inax.lixil.co.jp/tilinglabo/exhibition/special/
素晴らしい会社であるが、世間的には地方のタイル会社という位置づけだった伊奈製陶を、
伊奈輝三社長を始めとした当時の経営陣と共に、中西先生率いるPAOSが、まさに参謀として、
”CI”という武器によって全く新しい会社へ変貌させていきます。
元々軍隊用語である「戦略」は、現在では最も頻繁に使われるビジネス用語となっていますが、
この事例において本当にこれは戦略的だと思う点は、突破を図る”点”を「トイレ事業への進出」という、
技術的には可能であろうが常識的には難しい、と考えがちなその”一点”に据えられたことです。
当時のTOTOは80%のシェアをもつガリバーで、それは大きな大きなチャレンジだったことだと思います。
しかし先生は、それを「日陰者であるトイレを日向者に」というシンプルで分かりやすくかつイノベーティブな言葉で
表現されており、ガリバーと真正面からぶつかる企業間競争ではなく、あくまでも受け手発想で思考された表現を使うことで
「世の中を変えていくのだ。」という誰もが使命感を帯びたチャレンジ精神に変えながら導いておられます。
これぞ、「個業化」の真骨頂。
そして、それは、ちょっと、仕事を超えた遊び心を感じてしまいます。(あくまで私見です)
「あの汚さの代表みたいな”便所”が、”どこよりも好きな場所はトイレです”。という人がたくさん増えたら面白いだろうな。」
みたいなことを考えている中西先生の姿を、ふと思い浮かべてしまうのです。(あくまで私の妄想です)
今、それがどのようになっているのか、私をはじめ多くの人が知るところですが、今やINAXは、TOTOと並ぶ
二大衛生器具ブランドとして存在しています。
また、シャワー式トイレや節水などの技術は、世界を圧倒的にリードしており、外国人が日本に来て驚くことは、
まずトイレ。と言われるほど、まさに世界を大きくリードする文化となっています。
そしてINAXは、未だに「デザインされたトイレ空間」という啓蒙活動を様々なメディアを通じて行っている会社です。
それらは、まさしく先生が行ったCIから始まり、今に続いていることが明らかです。
繰り返しになりますが、それは、一つの会社を変えただけでなく、「トイレ」という人間が生活する上において、
切っても切れない日常を大きく変えてしまいました。
・・・・・・まさにこれぞ「イノベーション」
また、先生の仕事は、驚くほどの緻密さで構成されています。
例えば、INAXへの社名変更に関する解説でも、
世界中の商標登録の検証から始まり、
音韻の検討、クス、ぱぴぷぺぽなどは印象に残りやすい
ツは、破裂音で印象が強い
アルファベットの中でもA、Z,Xは格が高い・・・・・・など、完全に様々な角度からの検証を行い、さらにディテールを丁寧に詰めて
経営者に提示し結論に至っています。
素晴らしい仕事は、美しい仕事。それは、「神は細部に宿る」そのものです。
また、講義中は当時の映像などの上映などもあり、それを見て私が印象深かったことは、
「経営者をはじめ社員の方々が生き生きと、ワクワク仕事されている様子」でした。
講義終了後、私は、質問させていただきました。
「先生のお仕事は、最終的には、売上を伸ばして成果を上げることだと思いますが、
それ以上に社内を変えることを目的とされているようにも感じますが、どちらを重視されていますか?」と問いました。
先生のお答えは、「社内を変えるために社外を利用するのです。それは、ドラマトゥルーギーの手法です。」
「ドラマトゥルーギー」それはまさにドラマを演じているがごとく経営を行う手法。
先生の講義で度々出てきたキーワードですが、うーーーーーん今回は、しっかり実感しました。