2016年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2016年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

戦略経営デザイン論6

日付
2016年11月02日 19:00~
場所
デジタルハリウッド大学院大学
受講生の感想

記:稲垣 秀行

戦略経営デザイン論の第6回。
 
今回は、STRAMD「Prospectus10」
 
“4 価値創造成果を、時代を超えて「成功実証事例」から学ぶ”
 
について中西元男先生の講義である。これまでは理念や考え方など概念論についての話が中心だったが、今回は「事例」」を学ぶ。悲しいかな、これが私にはとてもありがたい。
 
STRAMDの講義を通じて、何とか「創造力」「イノベーションを起こす力」といったものを習得したいと思っているが、当たり前だがこれがなかなか難しい。中西先生や他の講師陣の方々の話はいつも大変興味深いのだが、その面白さをどのように表現すればよいか、自分の言葉にうまく落とし込むことが難しいのだ。言われていることは理解できる。しかし、私の描いたイメージを、うまく第三者に言葉で伝えたいと思っても逡巡してしまう。なかなか筆が進まない。結果としてこのブログも随分と時間が経ってのアップになってしまった(ただの言い訳に過ぎないかもしれないが…)。
 
話を戻す。そんなSTRAMDの個性的な講義の中でも、今回は「成功実証事例」である。ここ数年頻繁に使われる「デザイン思考」という言葉。「組織的にイノベーションを起こすためのフレームワーク」という捉え方が多いように思うが、実際に形となったものがあるか?と調べてみるとこれが多くはない。一方、STRAMDではPAOSが過去に手がけてきた膨大な実証事例がある。つまり、理論に対する証明がすでにできている。「いや、言っていることはわかるけど、実際にその方法使って成功した事例あるの?」というオブジェクションは営業職として過ごしてきた17年の間に嫌というほど顧客から投げられた。そして、多くの場合、そこで商談がとん挫した。「事実(結果)が持つ重み」について聞けるまたとない機会、それが今回の講義だ。
 
講義の中では、PAOSのビジネスの原点となった1970年代前半に行った、あるハウスメーカーの日本型CI開発事例が披露された。「4種の神器」と呼ばれるツールを紹介しながら、その時の経緯について詳らかにしていただいた。
 
何より驚かされるのは、この仕事が1970年代前半、今から40年以上も前に行われたという事実だ。大阪万博が1970年。私もまだ生まれていない時代の仕事を見る。もちろんPCやインターネットなんてない時代だ。手書きの提案書でありマニュアルである。しかし、そんな表現の差異など問題にならないくらい、2016年に見ても全く色褪せることのないコンテンツの豊かさに、ただただ驚嘆する。
 
現代は当時と比べて、1つの仕事に費やすお金と時間という資源が、より少なくなっているように思う。日々の仕事に追われ、「少しでも費用を抑えて」「できるだけ早く」、コトを進めながら改善していくリーンスタートアップのような考え方が、先の読みにくい現代のような時代には適している、という話も多く耳にする。
 
しかし、それは本当にそうなのか?スタートアップの世界で「ユニコーン企業」なんて言葉もある。ユニコーンのようにまれで、巨額の利益を生み出す可能性のある企業を指すようだが、つまりは「非常に少ない企業しかそうならない=ほぼ多くの企業はうまくいかない」ということだ。ごくごく一部の企業が「勝ち組」として法外の利益を得、その他大勢と激しくかい離している社会がはたしてあるべき姿なのか?
 
「本当に良いもの」は、時間の審判を通過して生き続ける。だからこそ古典と呼ばれるものには一定の真実があると言われる。今回の講義で見たコンテンツは、少なくとも40年という時間の審判はくぐり抜けてきたものだ。IT技術が世の中を大きく変えたのは、せいぜい20年ほど前の話だ。40年前には、まだMicrosoftもAppleもなかった。ひととき時代の寵児となるか、または、大きな話題には上がらなくても、永く愛されることを目指すのか。確率論から考えれば、私のような凡人が目指すべき方向性は明らかだ。私も時を越えたい。

《STRAMD》

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