2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院 2011年度 カリキュラム@デジタルハリウッド大学院

ソーシャルメディア

日付
2011年06月09日 18:30~
場所
桑沢デザイン研究所
概要
ソーシャルメディアの歴史と現在
受講生の感想

記:大月 均

第17回 記:大月 均

Web関連の話題の中でも、「ソーシャルメディア」 は最も注目されているテーマではないでしょうか。

最近ではtwitterやFacebookを指して用いられることが多いですが、元々、ブログ/YouTubeなどの動画共有サービス/Amazonなどのカスタマーレビュー/ソーシャルブックマーク、そしてWikipediaやSNSに至るまでの、いわゆる“CGMによるインタラクティブな広がりをもって設計され、人々の情報発信によって作り出されるメディア”のことを「ソーシャルメディア」と捉えることができます。

神原先生による本講義も、インターネット黎明期からの変遷、マスメディアとの対比など、非常に広範にわたりました。
特に、国内1,300社以上の利用(累計)を誇るポータルサイト『News2u.net』の運営によって蓄積されたノウハウやデータを基にした企業のウェブPRに関するケーススタディーは、非常に示唆に富む内容でした。

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【講義内容】
主なポイントを以下に列記します。

「マスメディアの役割の変化」、「対象がマスコミからインターネットを利用する全ての人へ」
■企業Webサイトは自社メディア
・あらゆるステークホルダーに対して、企業の一次情報をダイレクトに届けることが可能
・マスメディアは情報流通の唯一の媒介から、メディアの一つとなった
つまり自社メディアのポテンシャルが飛躍的に高まったということであり、一方ではマスコミ依存からの脱却が必要とも言える。

→ステークホルダーに対する的確な情報を提供する
→コンテンツをアーカイブすることにより無駄なく活用する

「顧客はPRもマーケティングも区別しない」
■ニュースのロングテール化
・広報関連の情報:新製品/サービス/技術、CSR情報、IR更新情報など
・マーケティング関連の情報:Webコンテンツ更新、自社独自の調査データ、セミナー/イベント告知など

→企業の中にあるファクトを積極的に情報公開する
(ニュースはマスコミに掲載されるもの、ではない)

■検索結果を「面」で考える
・自社メディアの情報だけでなく、他社メディア、ソーシャルメディアで“自社がどう語られているのか”にも注目する

→顧客の興味関心に対して、“企業と顧客を繋ぐ検索結果”はコントロールできない
(企業自身によるWebサイトもどこかの誰かのブログも、区別されない)

「ニュースリリースはいつ読まれるか?」
■現在だけではなく、未来からの「時間軸」で考える
・発表の直後⇔興味を持った時
<ニュースリリース閲覧時期の内訳一例…1ヶ月以内:49.4%、3ヶ月以内:13.2%、1年以内:37.4%>

■コンテンツは資産
・ストックされるコンテンツ⇔消費されるコンテンツ
広告による情報流通スピードと、コンテンツのアーカイブ価値に留意する

■情報源のバランスの変化
・マスメディアの影響力の低下

「事実を伝えるニュースリリース、想いを伝えるソーシャルメディア」
1)自社サイト

2)プレスリリース

3)ニュースリリース
↓ “参加”
4)公式ソーシャルメディア
↓↑
5)ソーシャルメディア

1)、2)、3)は書き言葉での情報発信であり、 4)、5)は話し言葉での会話/コミュニケーションである。

→“Fact * Conversation” 継続した情報の提供=正しい情報の増加
(ニュースリリースは構造そのものが検索エンジンに優しい(キーワード占有率))
(よりコンタクトポイントが増加して情報リテラシーが向上していくことで、すべての人がスポークスマンとなり得る)

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【所感】
企業でソーシャルメディアの導入や運用について検討する際、「従来の概念で費用対効果を測ることができない」という問題に直面するケースがあります。もう少し具体的には、以下の2点が積極活用におけるボトルネックだと考えます。
・ソーシャルメディア自体が非常に流動的で発展途上のため、そのポテンシャルや危険性が未知数である
・情報のロングテール化に伴って短期的/定量的にコストパフォーマンスを評価するのが難しい

定量的な指標として設定し易いtwitterのフォロワー数やfacebookの「いいね!」の数などはさほど重要ではない言われるようになってきていますが、それはつまり目的/コンバージョンをどこにおくかによって取るべき施策もその場で行うべきコミュニケーションの中身も変わる、ということに他ならず、更に言えば、ソーシャルメディアありきではなくコミュニケーションの全体最適化の視点から考えることが肝要であるということになります。(ソーシャルメディアを活用しない、という判断もあり)

そのような前提に基づいて、不確実性のあるソーシャルメディアとどのように向き合い付き合っていくかについてを考察していくと…もちろん企業トップ/意思決定者の器量(事業家は投資発想、経営者はコスト発想)や情報リテラシーなどによっても違いが生じてきますが…
日々変化と進化を遂げ続けているインターネットにおいて、いかに現場レベルでトライ&エラーを行って、いかに先んじて肌感覚でノウハウを蓄積していけるかがポイントになってくるということに気づかされます。
そして、そのような機動力、実践力を個人や組織がもっていること自体が企業にとって大きな資産であり、どのようにしてそういった文化を創っていくことができるかが、これからの企業経営における鍵の一つになると感じました。

さて、ソーシャルメディアに関する事例は、まだまだ日本国内(特にBtoB)においては少ないですが、今後様々なカタチで誕生し、浸透していくことは疑いようがありません。
その大きな流れに対し、一人の生活者として、また一人のビジネスパーソンとして、よりよい社会の実現のためにどのようにコミットしていけるのか…。

ソーシャルメディアを題材とした本講義を通じ、そのようなことに思いを馳せました。

神原先生、ありがとうございました。

(2011.8.16 記)

デジタルハリウッド大学院と連携5年目 2017年度第8期開講

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